ホーム > メインコンテンツ > マーケティング基本その1マーケティングのこころ
戻る
次へ

基本その1 マーケティングのこころ


● マーケティングとは、「相手の気持ちを知る」こと

冒頭で、マーケティングの定義は、「伝えたい価値を正しく伝える」ことだと述べました。
この定義は決して間違ってはいないのですが、受け取り方によっては、「商品の良さを相手に伝える」という意味にとらえてしまうかもしれません。

そう考えてしまうと、「なぜ、こんなイイ商品が売れないのだ」という袋小路に入ってしまいます。

ここで結論を先に言ってしまいます。
イイ商品を作るためには、「商品のことを考えてはダメ」なのです

どんなビジネスであれ、何かを提供したい「あなた」がいて、それを受け取る「お客さん」がいます。
この両者の間を結ぶのが、「商品・サービス」です。

なぜ、商品を良いものにするには、商品のことを考えてはいけないのかを、下の図を元に説明します。
これは商売の大原則ですので、よく頭に入れておいてください。





ビジネスの基本は、「お客さんが満足するものを提供する」ということです。
いくらあなたが、商品に絶対の自信を持っていたとしても、お客さんに伝わらなければ意味がありません。
あなたが、どんな苦労の末にその商品を作り出したとしても、お客さんにとってはどうでもいいことなのです。
売れるか売れないか、喜んでもらえるかどうかは、まずは、「お客さん」の気持ち次第です。

「商品が売れる」ということを第一に考えるのであれば、まずは「あなた自身」のことを考えなくてはなりません。
あなたの特性や性格、得意分野などです。
それと同時に、絶対に知っておかなくてはならないのが、「お客さん」のことです。
お客さんとあなた自身の関係次第で、「商品」などいくらでも変化していくのです。

これは、「商品などないがしろにしろ」といっているのではありません。
優先順位の問題です。
イイ商品をつくるためには、「商品のことからスタートしてはいけない」ということです。
「商品」自体からスタートしてしまうと、結果として、お客さんにとっては「イイ商品」にはならないのです。

ほとんどの起業家は、自分の商品やサービスに自信を持っています。
もちろん、そうでなければ起業など考えないでしょうから、当然のことといえます。
おそらく、その商品知識に関しては、誰にも負けないと自負しているはずです。
しかし、その考え方は、一人よがりの錯覚にしか過ぎません。

どんな技術を使い、どんな工程で、どのような特徴がある商品なのか。
どんな利便性があり、お客さんにいかに喜んでもらえるサービスなのか。
あなたにこうしたことをしゃべらせたら、2~3時間では語り尽くせないでしょう。

けれど、お客さんにとっては、そんな供給側の勝手な論理など、どうでもいいことなのです。
あなたが一番知らなくてはならないことは、「あなたの商品・サービスが世間にどう受け止められているのか」ということです。

「なぜ、お客さんはあなたの商品を選んだのか?」
「選ばなかった人は、最初からあなたの商品を知らなかったのか?」
「知っていたのに選ばなかったのか?それなら、なぜ選ばなかったのか?」
「選んだ今も満足しているのか?実は失望していないか?」

このように、お客さんについて知っておかなくてはならないことが山ほどあります。
そして、それを知ることによって、商品・サービスを刻々と変化していくものなのです。

起業家が陥りやすい間違いがここにあります。
我が子ともいえる自分の商品に対する思い入れが激しいあまり、自分の論理をお客さんに当てはめようとするのです。
これの怖いところは、「自分ではそう考えているという意識が無い」ということです。
お客さんのニーズに合った、完璧な商品だと信じきっていることです。

マーケティングとは、つきつめれば、「相手の気持ちを知る」ということです。
それ以上でもそれ以下でもありません。


● 「言葉」の大切さを知れ

起業家によくあるカン違いに、「マーケティングとは市場調査だ」というものがあります。

新商品を世に出す場合、いったいいくら売れるのか、顧客にアピールできるのかどうか、全く見当がつきません。
そのため起業家は、市場調査を行うことにより、これまでの顧客の動向やシェアを数字で把握しようとします。
そして、その数字を検討しながら、仮説を立てていきます。

しかしその作業は、あくまで、昨日までの「人の行動」を「数字」で知ることに過ぎないのです。
大切なのは、明日からの「人の気持ち」を「言葉」で知ることです。

「市場のシェアは○%だからこうしよう」という、数字から導き出した結論からでは、
本当にお客さんが満足するイイ商品など出来るはずがないのです。
自分の立てた仮説を確かめるには、あくまで「言葉」にこだわらなくてはいけません。

そのためには、とにかく「人の気持ち」を数多く集めるということです。
聞いて、聞いて、聞きまくるということです。
ここをカン違いしていたのでは、いつまでたってもあなたの商品は、日の目を見ることはありません。

例えば、あなたの会社で販売している和菓子があったとします。

1箱2,000円で、昨年の売上は3,000万円。
市場調査により、3,000人のお客さんが、1年で平均5箱買っていたことが分かったとします。

  売上高 3,000万円 = 2,000円 × 3,000人 × 5箱

この式が、市場調査で分かった、あなたの会社の実態データです。

この数字をもとに、どうやって売上を伸ばすかを検討します。
それぞれの数字を変えることにより、様々な戦略を立てることができます。

ここでとった戦略が、「商品改良により、1箱1,800円の和菓子を売り出す」ものだとします。
単価を下げることにより、顧客数を3,500人、リピートによる年間購買数を6箱に見込んだとすると、売上高は3,780万円になります。
こうした仮説のもとに、新商品を発売します。

しかし、予想に反し、同じ数だけしか売れません。
新商品の開発費と値下げ分が赤字になってしまいました。
これは、大企業でもよくある事例です。
資金の潤沢な大企業であれば、単なる失敗で済むかもしれませんが、起業家であればそういうわけには行きません。
一気に資金繰りが悪化し、最悪の場合は倒産もありえます。

市場調査の結果というのは、あくまでもお客さんの過去の行動実績に過ぎないのです。
その数字をいじってみたところで、それは予測にしか過ぎません。
予測を確かめるには、実際に人に聞くしかないのです。

もちろん、大企業もその程度のことはやっています。
調査会社に依頼して、それぞれの項目でお客さんの声を、「数字」でデータ化しています。
しかし、新しい商品であればあるほど、そのデータは当てにはなりません。
なぜなら、お客さんにしてみても、見たことも味わったこともない商品など、判断のしようが無いからです。

「1,800円になれば買いますか?」「味が変わればどうですか?」
と聞いてみたところで、帰ってくる「言葉」は、すべて一定の解答欄に印を付ける程度です。
これでは、本当に正直に答えたのか、他に望んでいることがあるのではないかという、微妙なニュアンスまでは、あなたに伝わりません。

これでは、せっかくの市場調査が、実態とかけ離れたものになってしまいます。
だから、あなた自身が、聞いて聞いて聞きまくることが大切なのです。

もちろん、ただ闇雲に聞けば良いというものではありません。
ヒアリングにも技術があります。
顧客の「本当の気持ち」を知るためには、独特のノウハウがあります。

それについては、会員用ページで詳しく解説しますが、マーケティングの基本は、
「人の気持ちをいかにして知るか」にあるということを忘れないでください。

戻る
次へ