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資金繰り表を作成してみよう


さてこれから、実際の資金繰りにおいて、基本中の基本ともいうべき「資金繰り表」の作成方法について説明します。

慣れないうちは多少時間がかかるかも知れませんが、絶対に途中で投げ出さないでください。
なぜなら、資金繰り表の作成は、会社の存続にとって最も重要な作業といえるからです。

私はこれまで数多くの倒産企業を見てきましたが、そうした会社に共通していることがあります。
それは、「資金繰り表を作成していない」ということです。

会社経営は、ドンブリ勘定でやれるほど甘いものではありません。
業績が好調に推移していたとしても、ある日突然、資金不足に陥ることはよくあります。
それはすべて、日頃から資金繰りを綿密にやっていなかったことが原因です。

会社の目的は利益を上げることですから、経営者はついつい利益を上げることばかりに目を向けてしまいます。
しかし、経営者にはもう一つ大切な仕事があります。
それが「資金繰り」です。

利益を上げることは、社員が一丸となれば達成できますが、資金繰りだけは経営者にしかできません。
将来のお金の流れを把握しておかなければ、どんなに利益を出したところで資金不足になれば倒産してしまいます。
しかし、逆に、利益が出ていなくても、資金繰りさえできていれば倒産しません。
つまり、会社が倒産するかどうかは、すべて「資金繰り」にかかっているのです。

資金繰りの仕事の大部分は、「資金調達」になります。
これについては、別のカテゴリーで解説していますので、そちらを参考にしてもらうとして、銀行や保証協会に融資を申し込む場合は、必ず「資金繰り表」を作成しなくてはなりません。

金融機関は、あなたの提出する「資金繰り表」と「経営計画案」を見て、融資を実行するべきかどうかを判断するのです。

ですから、会社を経営する限り、いつかは「資金繰り表」を作成しなくてはならない時がやってきます。
資金繰り表の内容が悪ければ、会社にとって命取りになります。
それならば、できるだけ早く資金繰り表の書き方をマスターしておくべきです。

それと同時に、資金繰り表を作成することにより、金融機関に対し事前に融資の打診をすることが可能になります。
銀行というところは、急な資金不足には対応してくれませんが、前もって計画的に申込があった場合には、そうした経営者の能力を評価します。

いずれにせよ、資金繰り表の作成は、経営者にとって欠くべからざる仕事と言えます。
どんなに会社が大きくなったとしても、どんなに有能な社員が育ったとしても、資金調達だけは社長の役目です。

その最初のステップとして、資金繰り表の作成にチャレンジしてもらえたらと思います。





● 資金繰り表を準備する

資金繰り表を作成するために、最初にどんな表をつくるか決めなければなりません。
市販の資金繰りに関する本にも見本はついていますし、インターネツトでも資金繰り表で検索をすれば多数の参考資料があります。

決まりきったフォームはありませんが、一般的には次のようものがよく使われています。
PDFファイルで取り出せるようにしていますので、それを見ながら、以下の解説を読んで頂けたらと思います。


● 資金繰り表の仕組みを理解しよう

資金繰り表の内容は、縦に入出金の区分する項目、横に月次、日次などの推移となっていて、これはみな共通の様式となっています。
社内で資金を管理するのが目的ですから、業種や企業規模などに合わせて、自分で使いやすいものを選べばよいのですが、最低限必要な項目があります。
それは、次の4つです。

・前月繰越額 - 前月からの資金(現金預金)の繰越残高
・当月収入額 - その月の入金予定額を記入する欄
・当月支出額 - その月の支出予定額を記入する欄
・翌月繰越額 - 翌月に繰り越す資金残高
 
翌月繰越額は、以下のように計算します。


そして、「翌月繰越額」は、次の月の「前月繰越額」と必ず一致します。

今回紹介した資金繰り表は、収入と支出をそれぞれさらに2つに分け、日々の営業に伴って出入りする収入・支出と、それ以外のお金の出入り(財務収支)とに分類しています。
実際の資金繰りでは、将来の支払いにいくら必要かを確認し、資金が足りないようであれば、借入れなどの資金調達を検討するといった流れになります。
この資金繰りの手順を踏まえるならば、資金繰り表のうち資金調達による収入と返済を、売上による収入や仕入・経費支払いから分離して、「財務収支」という分類を設けておくと見やすくなります。
また、財務活動を除いた、いわゆる本業での収支が一目瞭然で分かるようになっています。

資金繰り表の各項目の具体的内容は、このあとのセクションで詳しく説明します。
また、ここでの説明だけでは理解しにくい方のために、資金繰り表作成のセミナーを予定しています。
より確実にマスターしたい方は、そちらを利用されるのも良いと思います。


● 資金繰り表に金額を記入する時のポイント

資金繰り表に金額を記入・作成し、資金の動きを予測するためは、次の前提条件をあらかじめはっきりさせておかなくてはなりません。

① 売上予測(毎月の売上がいくらなのか)
② 売上代金の回収条件(売上がいつ現金として入金されるのか)
③ 仕入れ代金の支払条件(仕入代金はいつ支払うか)
④ 借入金の返済条件(借入金の返済予定はどうなっているのか)
⑤ 設備投資時期と予算(必要ならば)

これらの前提条件に基づき、資金繰り表に予測金額を記入していきます。

資金繰り表を作成する際、全般的に言えることですが、
収入予測は保守的に見積もり、支出は多めに予想するのがよいでしょう。
なぜなら、資金不足を前もって把握し、その手立てを打つことが、資金繰りの大きな役割の一つだからです。

作成する元になる資料は『事業計画書』です。
事業計画書の作成の仕方については、会員用ページを参照ください。

● 資金繰り表に金額を入力する

1 前月繰越金

資金繰り表作成において最初に記入するのが、この前月繰越金です。
前月末時点での金額を記入するのですが、この金額を確定させることは、資金繰り表を作成する上で大変重要です。

では、資金繰り表で「繰越残高」としてみなせるものは、会社の資産のうちどこまででしょうか。
それはいつでも支払いに充てることができる現金、預金などです。
定期預金ももちろん資金ではありますが、すぐに換金できないことが通常なので、資金繰り表の繰越残高には入れません。

繰越金額を確定させる時に、いくつか注意することがあります。

まず、現金、小切手、預金、受取手形は、必ず実際に「現物確認」をします。
そしてその確認した残高をそのまま記入します。
(現物残高とは、手と目でみて触ってカウントしたもので、計算したものではありません。これは鉄則です。)

私のお客様で資金繰りが厳しいと慌ててご相談いただく中に、よく見てみると繰越金額が間違っていた、なんてことがよくあります。
銀行口座を複数持っていて、そのうちの一つを忘れていた時は、前月繰越額が増えるのでまだいいのですが、怖いのはその逆です。
記入した前月繰越金額が実際の残高よりも多い場合は、大きく資金繰りの予定が狂うので、必ず現物確認を徹底して下さい。

2 売上金回収

この欄には、売上のうち、実際にその月に現金や小切手として受け取るか、または預金口座に入ってくる予定金額を記入して下さい。

現金商売と言われる飲食店などの業種以外は、通常売上が計上されてから、その売上が現金として入金されるまで時間がかかります。
(売上金が、売掛金→受取手形→現金といった流れになるため)

事業計画で立てた売上計画を元にして、自社の売掛サイト(売上が計上されてから現金になるまでの期間)に基づいて、売上が現金として入金される月を計算して記入してください。

また売上を計上して、翌月入金になる売り先もあれば、翌々月に入金がある売り先もあり、売掛サイトが一定でない場合もあると思います。
そういった場合は、取引先ごとに売上予想とその売上が入金となる月を計算し、できるだけ実態に近づけるようにしてください。

すでに事業をされている方で、売掛サイトが一定でない場合や、売掛金回収の方法がその都度違うといった場合は、下記のような過去3ヶ月回収実績から回収割合を求める方法を使うのもいいと思います。

回収割合の求め方



算式


上記の例のように、過去の回収実績に基づいて、割合を求めます。
ここでは3ヶ月間の平均値を出して割合を求めていますが、この期間は長ければ長いほど、より実態に基づいた割合に近づくのでよいと思います。

求められたそれぞれの割合に、後は前月の売掛金の金額を掛けた金額が、
現金回収金額および手形回収金額になります。
現金回収分は、入金欄の2 売上金回収へ記入します。

3 受取手形期日入金 & 16 割引手形

次に3受取手形期日入金と16割引手形の欄に金額を記入しましょう。

受取手形の処理には、以下の3つの方法があります。
これら3つの処理の仕方によってそれぞれ資金繰り表への記入のタイミングや記入欄が違ってきます。

①期日まで保有し、期日が来た時点で現金にする。(期日決算入金)
→3受取手形期日入金の欄に記入
②仕入先や経費の支払いを回収した手形で支払う。(裏書譲渡)
→資金繰り表には記入しない
③決済日が来る前に銀行へ持込み、現金にする。(手形割引)
→16割引手形の欄に記入

ちなみに、資金繰りが楽になるのは、③→②→①の順です。
①は手形の期日がこないと現金にできないが、③は期日が来る前に銀行へ持込み、現金にすることができますので、資金繰りは楽になります。
しかし、銀行には割引料という利息を払わなければならないため、できるならば割引しないほうがいいです。

話を元に戻しましょう。
受取手形の処理としては上記の3つがあるわけですが、通常は、その処理のやり方が会社ごとに決められているのが一般的です。
そこで、売掛金の回収割合を求めたように、過去の実績を元に手形の処理方法も割合を求めます。
売掛金の回収割合を求めたときと違うところは、分母が、月初の手形残高とその月に手形で回収した残高を足した金額になることです。
なぜ分母に加えるかというと、その月に回収した手形もその月内に裏書譲渡や手形割引をするからです。

手形処理割合の求め方



過去に実績がある場合は、上記のような計算で割合を求めることにより、手形の「3受取手形期日入金」と「16割引手形」の欄に数字を記入することができます。
しかし、これから起業する人にとっては、実績がないため、上記の方法で計算できないと思います。
その場合は、①~③の3つの方法のうち、どれか一つに決めて先に進んでください。

資金繰り表を一通り入力できた段階で、資金繰りに余裕があれば、手形割引を減らし、回収した手形を期日まで保有するようにしたり、逆に余裕がなければ、手形割引を増やしたりといった調整をして資金繰りを行います。

作成する段階では、あくまで仮の金額として記入をし、後で、各月の資金繰りを見ていき、仮の数字を見直し、調整していくようにします。

4 雑収入

雑収入とは、本業以外で得た収入のことです。
業種によって、その内容や金額の大小は様々ではありますが、例えば、建築業であれば、廃材を処分して得た収入や、助成金や補助金を受け取った場合などが挙げられます。

過去の実績や今後の予想をみながら見積もってみましょう。
しかし、資金繰りに影響を与えないような細かい金額まで計算する必要はありません。

5 その他

企業にお金が入ってくるのは、なにも売上や雑収入だけではありません。
従業員に貸付をしており、その返済があった場合や、仮払金の清算で現金が返ってきたりするときなども、分かる範囲で記入します。

6 収入合計

「2売上金回収」から「5その他」まで記入した金額の合計です。

7 仕入支払

この欄には、仕入先へ支払う金額をその月ごとに見積もり、記入します。
ここでのポイントは、次の2つです。

①月々の仕入金額はいくらなのか
②会社の支払条件はどうなのか(仕入れてからいつどういう方法で支払うのか)

まず、「①月々の仕入金額はいくらなのか」についてですが、売上を上げるために月々の仕入がいくらになるのかを計算する必要があります。
詳しくは、事業計画書のセクションを参照していただければよいのですが、
予想売上高に、「売上原価率」を掛ければ、その月の仕入額が計算できます。

「売上原価率」とは、売上金額のうち仕入金額が占める%のことです。
例えば100円で売れた商品を30円で仕入れていたなら、売上原価率は30%となります。
通常、売上原価率は、毎年大きく変わるようなことはありませんので、過去の実績やこれからの見積もりを加味して原価率を求め、売上予想に基づいて、その月の仕入額を計算してください。

これで月々の仕入額が予想できました。
しかし、この金額をそのまま資金繰り表に記入することはできません。
仕入代金の支払は、購入時にその場で現金を支払う場合は、そのまま資金繰り表に記入することができますが、支払時期と支払方法は、現金だけではないからです。

そこで、「②会社の支払条件がどうなっているのか」を確認する必要があります。
ほとんどの会社では、「月末締め翌月末払い」や「月末締め翌々月末払い」といったように決まっています。
その条件に当てはめて、その月の支払額がいくらになるかを計算できます。
ただこのとき、現金と手形をどういう割合で支払うことになるのかを計算し、予測する必要があります。
例えば、過去半年の実績から、現金支払した金額、支払手形で支払った金額、受取手形を裏書して支払った金額をそれぞれ出し、下記のように割合を計算すれば、すぐに計算できます。


上記の例では、現金支払が25%です。
支払条件が「月末締め翌月末払い」の時は、前月の仕入金額(支払条件が「月末締め翌々月末払い」の時は前々月の仕入金額)に25%を掛けた金額が資金繰り表の「7 仕入支払」の欄に記入されます。

また、手形支払いの場合は、次の「8 支払手形決済」で説明します。

8 支払手形決済 & 16 割引手形

現金の代わりに、支払手形で代金の支払いを行うことで、一定の期間、支払を延ばすことができます。
その期間は、1ヵ月といった短いものから半年に及ぶものまであります。

支払手形決済金額は、その会社の支払パターンをもって見積もることができます。
「7 仕入支払」の箇所でも説明しましたが、その会社の月額仕入金額とその支払条件さえ把握できれば、資金繰り表に金額を記入することができます。

例えば、下記のような表を作成すれば、簡単に見積もることができます。


この例では、1月の仕入金額(10,000千円)に対し、2月に手形を振り出して支払い、4月に振り出した支払手形を決済するという予定です。
仮に会社の支払条件が、月末締め翌々月末払いの場合は、1月の仕入金額は、3月に支払うことになります。
毎月振り出す手形金額の求め方は、「7 仕入支払」の支払割合の求め方で割り出した割合から計算をします。

なお、業者ごとに手形のサイトが3ヶ月であったり、4ヶ月であったりする場合は、業者ごとの仕入金額から手形振出金額及び決済金額を予測し、決済金額の合計を「8 支払手形決済」の欄に記入する必要があります。

9 給与

給与については、毎月ほぼ一定額の金額を支払っている、あるいは支払うことになると思います。
ただ、昇給や賞与、採用の予定がある場合は、その予定を加味してください。

10 諸経費

会社が支払う諸経費には、家賃、水道光熱費、交通費など多様な項目があります。
これらの諸経費の特徴は、仕入代金の支払いと違って、ほぼ毎月同じ金額であることや、支払期間が短いことです。
最初は、手形を使って支払うこともほとんどないはずですので、正確な支払金額がつかみやすいと思います。

ここでも大切なのは、毎月定期的に発生する支払いのほかに、年に数回しか発生しない経費を忘れずに予測することです。
例えば、年払いの保険料や事務所の賃貸契約更新料などがそうです。

11 消費税や法人税など

毎月支払うわけではないですが、大きな支払いになりがちなものに、税金があります。法人税や消費税、固定資産税などがそうです。
税金の種類により、支払う月と金額がわかりますので、あらかじめ自分の会社が、どの税金をいつ、いくら支払う必要があるのかを調べ、資金繰り表に記入してください。

特に消費税については、売上げが上がるにしたがって予想外の金額になるものです。
中間納税を含め、年2回の支払が発生しますが、その時になってあわてても後の祭りです。

税金の未納は、すなわち融資のストップを意味します。
これが原因で倒産するケースも多々ありますので、十分注意して下さい。

12 支払利息

銀行からの借入金が1件だけなら、銀行が発行した借入金返済予定表をみれば、すぐにわかりますが、複数件の借入がある場合は、下記のようなフォームを作成して管理すると、毎月の返済額と支払利息額が一目でわかり便利です。


この表は、銀行で実行される借入ごとに、その返済予定表から転記すればよいだけです。
合計欄の「支払利息」の金額を、そのまま「12 支払利息」の欄に記入してください。
「元金返済」の金額は、のちに説明する財務収支の借入金の返済欄に記入します。

13 固定資産購入

経常的に発生しない支払いなので、予測しにくい場合もありますが、資金繰り表を作成する時点で、事業計画書などを元に分かっている範囲で記入します。

14 その他

経費以外の出金として、仮払金としての経費前払いや従業員への貸付など、あらかじめ予測しにくいものがあります。
現時点で予測できる範囲で記入をしてください。

15 支出計

「7 仕入支払」から「14その他」までの合計です。

ここまで記入できれば、収入の合計である、「6収入合計」から「15支出計」を引いた金額で、その月の本業での資金の収支が分かります。

ここで収支がマイナスであれば、それがどうしてなのか原因を探る必要があります。
考えられる原因はさまざまです。
前述の「資金繰りQ&A」で詳しく説明していますので、そちらを参考にしてください。

次に、財務収支の項目を記入していきましょう。

16~25財務収支

財務収支の項目では、資金の調達と返済の項目が並んでいます。
まずは、金額が確定している項目から記入していきましょう。

「16割引手形」は、「3受取手形期日入金」の欄で説明した通りです。
そちらで計算した金額を入力してください。

「17銀行借入金」には、毎月の銀行への返済金額を記入します。
「12支払利息」の欄で作成した借入金返済予定表を元に、元金返済合計分をそのまま記入してください。

「25企業共済」とは、「資金繰りQ&A」のQ15でも説明していますが、
中小企業基盤整備機構が作った「経営者の退職金制度」といえるものです。
加入している場合は、こちらに、掛金の金額を記入してください。

● ひと通り資金繰り表に金額が入力できたら

ここまでで、事業計画などを元にして、ひと通り資金繰り表に金額が入力できました。
ここからが第二段階の開始です。

各月の数字の割り振りを、細かく検討していきましょう!
作成段階で明らかに違うと思われるもの、支払の工夫で助かるもの、回収率の改善など、どうしたら資金効率が高まるかを、事業計画書と対比させながら、検討を加えていきます。
これは大切な仕事で、事業計画のチェックにもなるので、慎重に見直しをして下さい。

この段階を経て、資金繰り表は完成です。 出来上がった資金繰り表を見てみましょう。
資金不足になっている月はありませんか?
そしてよく見ると事業の収入合計から、事業の支出合計を差し引きしただけでは、たいしたことはないのに、財務収支を加えたら、一気にマイナス額が増えていませんか。

マイナスが出ている月を、それぞれチェックして下さい。
その金額がすなわち資金調達しなければならない金額です。
最初に足りなくなる月の借入金調達の欄に、不足額を入れて下さい。
続いてまた、足りなくなる月が出てくる場合、該当月にその不足額を入れます。この作業をやればお分かりになると思いますが、その不足額が、年間の借入のスケジュールになります。

マイナスになる月がまだ先であれば、準備に余裕があるし、もうそこまで迫っているということであれば、直ちに行動開始する必要がありますので、そのタイミングを計りましょう。

銀行に融資を申し込む場合は、「できるだけ早く打診する」というのが鉄則です。
早い打診ほど、融資が受けやすいというのも事実ですが、それもやはりケースバイケースです。
設備資金に関しては、金額が大きく審査にも時間がかかりますから、早目がベターです。
逆に運転資金は、早すぎると担当者に先送りされてしまう恐れがあります。

設備資金の申し込みは、1~2ヶ月前から。
運転資金の申し込みは、3週間くらい前が目安です。
銀行が忙しい月末月初は避けて、決済の集中する五・十日と、月曜金曜を除いたほうが無難です。

融資申し込み時の上手な資料提出のコツや、銀行員との交渉のやり方については、会員用ページで詳しく解説します。

● 資金繰りのメドを付ける

資金繰り表を作成した後は、資金不足額の調達のメドをつけなければなりません。
資金繰り表を作成する段階で、資金不足があった月は、収支がマイナスにならないように借入金の欄に不足額を入れ、収支を合わせました。
収支がマイナスになった原因はいろいろありますが、以下のようなものが考えられます。

① 売上増加に伴う資金不足の場合

いわゆる収支ズレによる資金不足です。(詳しくは前述のQ&AのQ1を参照ください)
この場合、利益は出ているはずですから、前向きな資金不足といっていいでしょう。
売上増加運転資金として、金融機関へ交渉する際も前向きに取り扱ってくれることが多いです。

② 業績赤字に伴う資金不足の場合

事業計画を元にして、資金繰り表を作っているので、事業計画自体が赤字とは考えられません。
もしこのような場合は、資金繰り以前に、抜本的な体質改善をする必要があります。
その具体的方法については、会員用ページで詳しく説明します。

③ 収支はプラスだが、借入返済を入れると資金不足になる場合。

借入金の借り換えを考えてみましょう。
借入金の返済表で金融機関からの借入残高をみて、借入金返済が進んできている金融機関へ借り換えを検討してください。
借り換えする金額は、過去借入した金額ではなく、ピーク残高を借り換え予定として、資金繰り表に入れてください。
この借入金の借り換えで、資金繰りが正常化することがはっきりしたら、該当する金融機関へ借入金の申し込みをします。
このときの資料は、「経営改善計画書」と「資金繰り表」です。
経営改善計画書で年間の業績予定を、資金繰り表で具体的な資金の動きを説明します。

④ 設備計画があって、その設備資金が不足している場合

金融機関では、「設備資金」と「運転資金」とに分けて融資を行います。
設備計画に基づく資金需要の場合は、運転資金から捻出せず、金融機関からの借入金でまかなうようにしましょう。
設備資金借入のタイミングとしては、設備の購入の1~2ヶ月前になります。

当たり前ですが、その際には金融機関に対して、設備概要を説明する必要があります。
内容は、設備内容、所要金額(業者からの見積りなど)、設備効果を簡単に記録したものです。

⑤ 年間では収支が合うが、季節変動が大きく、一時的に資金不足が発生している場合

資金繰り表で、一時的に資金が不足しても、最終的には余剰が確認できるようにして下さい。
前もって金融機関などに借入を打診しておきましょう。

一番いいタイミングは、決算が終わって、事業計画と資金繰り表ができあがった時です。
起業1年目の場合は、起業前の計画で資金不足を想定し、事業計画・資金繰り表を作成して下さい。

⑥ 資金固定化による場合

売掛金の長期滞留、過剰在庫、または在庫の不良化、設備資金への運転資金流用、金融機関への定期預金、毎月の積立預金、保険金の過剰積み立てなど、様々な原因が考えられます。
この場合は、資金繰りを定期的に見直していない、または事業計画の甘さなど、日々のやらなければいけないことを、やっていないことが理由です。

また、こうした原因から収支がマイナスになっているにもかかわらず、対策を先延ばしにしていると、近い将来必ず倒産の危険を迎えることになります。
早急に手を打つべきです。
その方法については、会員用ページで詳しく解説します。


そのほかにも、いろいろなケースがあるかもしれませんが、資金不足になってあわてて資金調達に奔走するのではなく、事業計画書に基づき、資金繰り表を作成し、少なくとも毎月見直すことが大切です。


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