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資金繰りの苦しさは経営者にしか分からない!


● 資金繰りは税理士・会計士に聞いてもわからない

657円。
これは私が友人と広告代理店を開業後、初めて迎えた年度末の現預金残高です。

従業員への給与、取引先への支払いも終わり、残ったのがわずか657円。
決して事業がうまくいっていなかったわけではありません。
むしろ毎月順調に売上が伸びており、どうやって節税しようかと悩んでいたくらいです。

私自身、会計事務所に5年勤務した後の独立で、曲がりなりにも会計士として多くの企業を見てきた自負もあり、起業に際して営業のことで悩むことはあっても、まさか資金繰りで悩むとは全く想定していませんでした。

では、なぜ私の会社は売上が伸びているにも関わらず、資金不足を招いたのでしょうか?
それは、この章を読んでいただければ、お分かりいただけると思います。

いきなり、私のお恥ずかしい話から始めましたが、資金繰りは税理士・会計士に聞いても分かりません。
いやむしろ、経験があまりないと言った方が正しいのかもしれません。
彼らは、帳簿の作成・税金計算の2つを主な仕事としています。
実際、私が会計事務所に勤務していた時にやっていたことは、上の2つのみと言っても過言ではありません。

税理士や会計士は、税金計算のプロではありますが、「資金繰り」のプロではない、ということです。

仮に資金繰りまで依頼できたとしても、原則月に1回しか来ない人に任せるのは危険であると言わざるを得ません。
なぜなら、資金繰りは刻々と変わる事業の状況にすばやく対応しなければならないため、外部の人間に任せるのは無理があるからです。


● 資金繰りは社長の仕事

では、資金繰りは誰がやるのでしょうか?
それは他でもなく、社長であるあなたです。

会社は利益をあげることで発展します。
しかし、会社は資金繰りがつかなくなると、その時点で倒産します。
赤字決算の場合は、翌年以降取り戻すことができますが、資金繰りの失敗は、取り返すことができません。
会社はその時点でジ・エンドです。

「黒字倒産」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
利益が出ているのに、資金繰りに失敗したため倒産することを、皮肉と警告の意味合いを込めて、そう呼びます。

会社が利益をあげることと、資金がうまく回っているというのは、別の次元の話です。

私がこれまで、多くの起業間もない社長と話してみて、よく勘違いされている点、理解されていない点はここです。

非常に大切なので、もう一度言います。
会社が利益をあげることと、資金がうまく回っているというのは別です。

資金がうまくまわっているという状態を数式に表せば、
1ヶ月の現金の入り≧現金の出
とういうことになります。

毎月きちんと利益が出ていたら、毎月の入金額は出金額よりも多いのが当たり前だと思われる方、じっくりこの章をお読みください。
そして、会員用のページでは、より実践的な資金繰りを説明します。

売上を伸ばすこと・利益を出すことばかりに目を向け、経営者のもう一つの役割である資金繰りをなおざりにすることは、ブレーキのない車を運転していることと同じで、大変危険なことです。
しつこいようですが、どんなに利益を出したところで資金繰りができず、資金不足に陥れば、会社は即倒産につながります。

つまり、資金繰りができなければ「経営者失格」なのです。
しかし、逆を言えば、利益は出ていなくても、資金繰りさえできていれば倒産しないのです。


● 「資金繰り」の役割とは?

これまで説明してきたように資金繰りは、会社にとって欠かせないものです。
しかし、ただ単に、資金の過不足だけを把握すれば良いというものではありません。

資金繰りには次の4つの役割があります。

① 日々の支払を円滑に行うために「お金の出入り」をコントロールすること。
② 向こう1年先くらいまでの資金繰り状態を把握し、資金不足であればその手立てを打つこと。
③ 日々の無駄な支出をつかみ、是正することにより資金繰りを楽にすること。
④ 会社の長期的成長という視点に立って、経営の判断材料にすること。

①と②の役割については、これまで説明してきたことでなんとなくお分かりでしょう。
しかし、この2つだけをやっていても会社の資金繰りはいっこうによくなりません。
借入ばかりが増え、いつかは行き詰ってしまいます。

そこで、③や④のような視点で資金繰りを見て、会社の無駄を省き、成長と借入金の返済などのバランスを取っていくことによって、手元にお金を残しながら会社を成長させていくことを目指します。


● 会社の資金はどう流れるのか

起業家のための資金繰りなので、まず第一段階として、会社の資金はどのように流れているかを見てみましょう。



どんなビジネスをやるかによって上記の図は少しずつ違いますが、一般的にはこのようなものです。

まず、起業時の資金調達から流れをたどっていきましょう。

起業に必要な資金は、自己資金でまかなわれるのが理想ですが、多くの場合、起業時の資金は、金融機関や親・友人から調達するケースがほとんどでしょう。
起業時の資金調達の実践的ノウハウについては、会員用ページで細かく説明していますので、そちらを参考にしてください。

その資金で、事業を始めるために必要となる設備(固定資産)を調え(設備資金)、さらに原材料や商品を仕入れ、製品を製造し、それらを販売します。
その販売代金は、売掛金や受取手形となり、回収されます。
材料や商品の購入には、支払手形や買掛金が充てられ、支払期日が来れば現金で支払われます。
この営業活動の流れの中で発生する諸経費(家賃や人件費など)も現金で支払われますが、資金が不足した場合は、銀行から借入れを起こすことになります(運転資金)。

会社の原動力となる利益は、この営業活動のサイクルによって生み出されますが、順調に推移しているときは、この流れの最初の現金が利益の分だけ多くなり、手元に帰ってくることになります。

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