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法人にするか個人事業にするか?


起業には、2つの方法があります。

1.会社(法人)を設立する

2.個人事業主として開業する

起業するといっても、なにも会社を作る必要はありません。
個人事業主となって、会社の名前ではなく、自分の名前だけで仕事をしていく方法だってあるのです。

法人化と違い、個人事業の手続きは、実に簡単です。
「個人事業の開業届出書」と「棚卸資産と減価償却資産の評価方法の届出書」を税務署に、「個人事業開始申告書」を都道府県税事務所に提出するだけです。
時間もお金も全くといっていいほどかかりません。

「起業する場合、法人を設立したほうが良いのか、個人事業にしたほうが良いのか」

これは、あなたがやろうとしている業種や、予想売上高によって、千差万別です。
その判断基準については、次の3点です。

1.税金はどちらが得なのか

2.資金調達はどちらがやりやすいのか

3.社会的信用はどちらがあるのか





●課税所得が低いうちは個人事業、大きくなれば法人が有利

課税所得とは、「事業収入-必要経費」のことをいいます。

以下に、個人所得と法人所得の実効税率を比較してみます。


        課税所得金額(万円)               課税所得金額(万円)


この表から分かるように、課税所得が330万円以下の場合は、個人事業主の方が得なのです。

もしかしたら、あなたは、「法人にすれば税金が得する」と単純に考えていたかもしれませんが、実際には、個人事業主のほうが有利なこともあるのです。

では、いくらの課税所得があれば、法人のほうが得になるのか?
これは、家族構成により一概には言えませんが、だいたいの目安はあります。
あなただけで事業をやる場合は、700万以上です。
それを上回る課税所得であれば、法人化をお勧めします。


●法人なら役員報酬を利用して節税できる

・個人事業主の課税対象額 ・・・ 「事業収入-必要経費」
・法人の課税対象額     ・・・ 「事業収入-必要経費-役員報酬」

上のようにこの2つを比較すると、法人の課税対象額は、役員報酬を引いた残りとなります。
もちろん、役員報酬については、給与所得として課税対象になります。
「それなら同じじゃないか」と、あなたは思ったかもしれませんが、実際は違うのです。

給与所得には、「給与所得控除」という、概算経費を差し引くことが出来るという特典があるのです。

確かに、個人事業主にも「青色申告特別控除」という特典がありますが、その金額は、65万円です。
それに対し、「給与所得控除」は、給与所得800万円の場合では、なんと200万円もあるのです。

下の表は、同じ売上で、法人所得をゼロになるような役員報酬を受け取ったケースを比較したものです。



法人所得はゼロですから、もちろん法人税は0円です。
ただし、法人には、所得ゼロでも住民税の7万円がかかります。

この両者の税金額を実効税率で比較すると、
個人事業主・・・・7,350,000円×33%=2,425,500円
法人   ・・・・6,000,000円×30%+70,000円(均等割分)=1,870,000円
                  
約55万円、法人のほうが得をするということです。

つまり、法人であれば、役員報酬を調節することにより、合法的な節税が出来るのです。

ただし、この節税方法は、平成18年4月1日開始以降の事業年度から、一定の条件をクリアした同族会社のみの取扱いとなります。

1.同族関係者以外の第三者が、10%超の株式を保有する場合
2.常勤役員の半分以上が、同族関係者以外の第三者である場合
3.役員報酬控除前の法人所得の過去3年平均値が、800万以下の法人

これは、起業家にとって、非常に重要な税制改正なので、会員用ページで実例を挙げながら具体的に解説します。
また同時に、この規定を回避するための具体的な対策を伝授致します。

さて、ここまで書くと、あなたの頭の中には、
「では、トータルの税負担として、最も得する役員報酬額はいくらなのか?」
という疑問がわいてきたと思います。

この計算は、実際には非常に複雑です。
ただ、せっかくですから、役員一人だけの法人の場合の目安をお教えします。

答えは、利益1,200万円までなら、その全額を役員報酬にすべきです。

利益が1,200万以上なら、残りは法人の利益として計上することです。
それ以上の役員報酬を取ると、所得税等の方が法人設立よりも高くなってしまいます。

せっかく起業したのであれば、あなたも、役員報酬1,200万円を目指してください。


●役員報酬を利用して合法的裏ガネを作る

これから述べることは、起業家にとって非常に重要なことなので、じっくりと熟読することをお勧めします。

上述したように、起業したての小さな会社であれば、役員報酬を目いっぱい取って、会社の利益を限りなくゼロに近づける方法が最も節税になります。

でも、ここで疑問を感じる方もいらっしゃると思います。
特に、堅実な方や、すでに起業されていて資金繰りで苦労されている方は、こう言いたいのではないでしょうか。
「節税はいいかもしれないけど、会社で利益を計上しなければ、いつまで経っても会社は成長しないし、資金調達も出来ないのでは?」

その通りです。
会社というものは、存続させてこそ、その価値があります。

そのためには、少しずつでも会社の利益を蓄積していき、いざというときのために資金をストックしておく必要があるのです。
この資金のことを「内部留保」といいます。

しかし、内部留保するためには、必ず税金を払わなければなりません。
この税金を、少しでも少なく済ませる方法はないのか?
それを合法的に行う方法が、「役員報酬」なのです。

つまり、役員報酬の「給与所得控除」を利用して、本来支払うべき税金よりも小額の税金で済ませ、より多くの資金をストックしておくということです。
法人として内部留保するお金を、個人としてプールしておき、法人で必要なときに資金を還流させるのです。
もちろん、役員報酬として課税を受けているので、なんら違法性はありません。

私は、このお金のことを「合法的な裏ガネ」と呼んでいます。
私のクライアントには、この合法的裏ガネ専用の個人口座を作ってもらい、「会社の資金が足りなくなったとき以外には出金しない」という誓約書を書いてもらっています。
もし約束を破った場合は、私との顧問契約は解除させてもらっています。

なぜ、そこまでするのか?

それは、会社というものは、3~5年に一度、必ず重大な決断を迫られる事態が発生するからです。

事業拡大のために設備投資すべきかどうか、社員を増員すべきかどうか、このまま取引先を増やせば良いのか、売上拡大のために運転資金を投下すべきかどうか・・・。

そのすべてに共通しているのは、「資金が必要になる」ということです。

それまでの業態を変えるということは、すぐにその成果が表れるというものではありません。
成果がお金となって入金されるまでには、数ヶ月のタイムラグが発生します。
その間の資金が必要になるということです。

もちろん、その時点では、融資の必要性がありますが、手元に内部留保された資金があるのとないのとでは、雲泥の差です。

ここでまた疑問を感じる方もいらっしゃると思います。
「会社に内部留保したいのはやまやまだが、そんなお金なんか残らないぞ」

おそらく、ほとんどの起業家は同じ意見をお持ちだと思います。
結論から言わせてもらいます。
「あなたの給料が高すぎるのです」

おそらく、あなたの給料金額が決定されたのは、「最低これくらいの生活費は必要だから」という理由からではないでしょうか。

キツイ言い方かもしれませんが、それはサラリーマン的な発想です。
経営者になったからには、まず「法人」ありきです。

あなたのすべての行動は、「会社存続のため」になければなりません。
会社を食いモノにするような経営者は、いつか失敗します。

そのためには、まず、あなたの「適正役員報酬額」を知らなければなりません。
その計算方法は、大きくわけて3つあります。

・「労働分配率」から計算する
・「一人当たりの経常利益」から逆算する
・「総資産経常利益率」から逆算する

どの方法をとってもかまいませんが、私のクライアントには、3つの数値の平均値を役員報酬額として設定しています。

それぞれの数値の求め方については、会員用ページで詳しく説明しますが、ほとんどの起業家は、「えっ!こんなに少ないの!?」と思われると思います。
しかし、数字はウソを言いません。
あなたの会社を存続させるための適正給与は、そんなものなのです。

もし、それ以上の給与を取りたいのであれば、会社の財務体質を変えるしかありません。
しかし、だからこそ、経営に対してのモチベーションを持ち続けることが出来るのです。
会社存続のための具体的数値を目の前に突きつけられてこそ、それをクリアするための具体的目標設定ができるのです。

私はいつも思うのですが、今はやりの起業ブームに乗せられて、「こうすればお金持ちになれる」といった類の本を熱心に読む方がいらっしゃいます。
確かに書いてあることは「真理」ですし、自らの「体験」に基づいての内容ですから、それなりに「私もお金持ちになれそうだ」と感じると思います。

しかし、所詮、そうした方法は、「なれそうだ」の域を脱していないのです。
いわゆる「錯覚」です。
あなたも、その人と同じような努力をすれば、お金持ち人になれるという気持ちになるかもしれませんが、明らかに錯覚です。

人の成功とは、ノウハウにならない部分に、その本質があります。

文字に還元できるものの大半は、役に立たないのです。
その文字の行間にあるものを、自らの経験と照らし合わせて、そこから新しいものを創造できる感性をもつ者だけが、成功への道を歩むことが出来るのです。

「お金持ちになる方法」という本を書いて儲けている人は、あなたのその「錯覚」に依存しているということに早く気づいて下さい。

大切なのは、「経営者に必要な基本的知識を身につける」ということです。

当然、そのためには、苦しい努力が必要です。
何度も何度も同じ事を繰り返し作業して、自分の体の一部になるまで頭に叩き込まなくてはなりません。
「ラクして・・」とか「簡単に・・・」なんてことは、あり得ないのです。

その過程の中でしか、そうした本に書いてある道徳的な「真理」は、理解することは出来ません。
道徳的なことを「知識」として学ぶのは簡単ですが、それを「実感」として学ぶには、大変な努力が必要なのです。

起業家である限りは、経営に携わります。
会社経営の中心になるものは「お金」です。
「お金」というものは、まず、それに関する「基本的知識」ありきです。
経営の現場においては、「道徳論」など何の役にも立ちません。
「お金」というものは、「数字」で管理する以外に方法はないのです。

そうした苦しい管理の過程で、あなたも、お金というものの「怖さ」や「扱い方」といった、「道徳的」な部分が理解できるようになると思います。

話が逸れてしまいましたが、あと1つ、「内部留保」について伝えておきたいことがあります。

それは、「役員報酬の調整によって、法人の利益を圧縮した場合、銀行の融資に耐えうる決算書になるのか」という問題です。
これは、本当にケースバイケースですが、一般的な結論としては、「大丈夫です。」

中小企業の場合、銀行の審査基準としては、法人も個人も一体であることを前提に判断します。

本来、借入金の返済原資として考えられているのは、「当期利益+減価償却費」です。
もし、この数値が、返済額に足りない場合は、役員報酬から通常の生活費やローン返済分を除いた部分を、「準内部留保」として、返済原資にプラスして判断するのです。

例えば、最終利益が50万円の赤字で、役員報酬が1,000万円ある会社と、最終利益100万円の黒字で、役員報酬200万円の会社では、前者のほうを評価します。
前者は、役員報酬を700万円程度に圧縮することは可能だろうから、その浮いた部分である300万円を利益に上乗せすると、実際は、250万円の黒字会社だという判断です。

ただし、これも銀行の担当者次第です。
担当者が、融資に後向きの場合、もしくは知識不足の場合は、単純に、「最終利益が赤字」だという理由だけで受け付けません。

ですから、融資申し込みの時には、担当者に一言、「私の役員報酬はもらい過ぎているので、来期からは正常額に戻し、会社の利益を優先するつもりです。」と言っておくのが良いでしょう。


●消費税の負担を回避できる

法人・個人にかかわらず、売上高が1,000万円以上になると消費税の納税義務が発生します。

しかし、この消費税の支払いは、開業年度の翌年に発生するわけではありません。
開業後3期目に納税義務があるのです。
つまり、2年間は消費税を納める必要がなく、預かった消費税分をすべて法人の利益にすることが出来るのです。

ただし、資本金1,000万円以上の法人は、開業当初から消費税の納税義務が発生します。
ですから、法人設立の際の資本金は、1,000万円未満にしておくことをお勧めします。

ここで裏ワザを一つ紹介します。

このルールによると、個人事業主として2期営業して、その後、法人に切り替えた場合、そこからまた2年間は、消費税の納税義務がないということです。
つまり、開業後4年間は、合法的に消費税の支払いをしなくて済むことになるのです。

開業当初から売上が見込め、開業後4~5年は資金調達の必要のないビジネスを考えているのであれば、この方法をお勧めします。




すでに起業されている方はよくお分かりだと思いますが、事業を継続する上で資金調達は避けて通れないものです。

設備が必要な業種では、起業当初からまとまった設備資金が必要になります。
また、設備が必要でない業種であっても、納品から売上代金の回収までに長い期間を要することがあります。
この場合でも、その間の運転資金が必要になります。

特に、起業して間もない頃は、取引先の開拓や日常業務に追われて、支払いばかりで入金がないケースが多く、その資金繰りは大変です。

何とかその時期を乗り切り、事業が軌道に乗ったとしても、資金調達が必要になります。
売上が伸びてくると、売上代金の入金日と、仕入れなどの支払い代金の入金日とのズレによって運転資金が不足するからです。

私はこれまで数多くの会社を見てきましたが、最初から最後まで無借金経営を継続できたところは、ただの一社もありません。
いずれ、どこかで資金調達が必要になります。

失敗しない起業の第一歩は、資金の流れを把握できているかどうかです。
そして、そのための準備が完璧に出来ているかどうかです。

やる気や情熱があれば、確かに売上は伸びるかもしれません。
でも、資金調達だけは別モノです。

金融機関は、一つ一つの条件に照らし合わせ、融資が出来るかどうかの判断を下します。
そこには、「やる気」や「情熱」の入る余地は全くありません。
「数字」がすべてです。
決算書の「数字」、事業計画書の「数字」、資金繰り予想表の「数字」。
数字があまり必要ないのは、経営改善計画書くらいのものです。

夢や情熱を語りたいのであれば、友達にでも語ってください。
金融機関は、あなたがいくら熱弁しても、そんな話は全く聞いてくれません。
申請書類に書かれた「数字」がすべてなのです。

起業家のほとんどは、ポジティブであり、プラス思考です。
もちろん、経営においては、楽観的な考え方が必要とされます。
しかし、お金だけは別です。
資金調達に関しては、「知っているかどうか」だけが明暗を分けます。
起業家で生き残れるのは、ストイックに準備をして、楽観的に行動できる者だけなのです。


1.金融機関

起業家の人たちが、まず最初に利用を考えるのは、国民生活金融公庫(国金)と保証協会(地方の制度融資)だと思います。
この2つについては、法人と個人事業主の区別は、それほどありません。

仮に、途中で個人事業主から法人化しても、個人時代の業績を通算してくれるので、最初は個人事業主であっても、デメリットはありません。
ただし、法人に比べて個人事業主のほうが、若干バーが高いようです。
保証人や担保を要求されることもあります。

しかし、起業後1年を過ぎると、明らかに法人のほうが有利になります。
決算書次第では、一気に無担保・無保証人の融資が受けやすくなります。

また、起業後2年経つと、さらに無担保・無保証人の融資枠が広がります。
それが、メガバンクの「ビジネスローン」です。
この商品については、「資金調達」のカテゴリーで詳しく述べますが、これが利用できるかどうかが、会社の明暗を分けます。
この商品は、法人のみが対象であり、かつ2期分の決算書を必要とします。

結論として、金融機関での資金調達に関しては、起業当初は、法人も個人事業主も、ほとんど変わりません。
ただし、時間が経てば、法人が有利になるということです。

ここで、あなたに知っておいてもらいたいことがあります。

それは、国金や保証協会の融資をスムーズに受けるためには、6ヵ月前から準備しておく必要があるということです。

これは、「資金調達」のカテゴリーで述べたような、起業時の自己資金だけのことではありません。
国金を利用する場合は、6ヵ月前から勝負が始まっているのです。

また、保証協会の制度融資を利用する場合は、借入申込みの順番が非常に大切です。
この順番を間違えると、本来利用できたはずの融資が使えなくなってしまいます。

「どの融資から利用するか」については、「資金調達」のカテゴリーの会員用ページで詳しく解説します。
国金の融資準備のコツと共に、起業家の方は、絶対に知っておいてください。
「知らなかった」だけのことで、あなたの融資枠を無駄遣いすることになりますから。


2.助成金

金融機関の借入金と違い、助成金は、返済する必要のない資金です。
もちろん利息もつきません。
受給用件に該当すれば、まず確実にもらえます。

助成金は大小合わせると、1,000近くの数に上りますが、これらの多くは、法人及び個人事業主を対象としています。
再就職が難しい中高年齢者を採用することでもらえる助成金については、法人も個人事業主も、それほどの違いはないといえます。

しかし、起業や新規事業に関する助成金については、法人の方が有利なケースが多々あります。

例えば、「中小企業基盤人材確保助成金」は、起業または新規事業のために従業員を雇った場合の助成金ですが、最高850万円を支給してもらえます。
法人であれば、設立手続きが「起業」とみなされます。
また、「新規事業」であれば、会社謄本の目的欄を変更すれば、新規事業参入とみなされます。
しかし、個人事業主だとそう簡単にはいきません。
「起業」や「新規事業」の証明には、数多くの資料提出と詳しい説明が求められます。
申請審査においても、個人事業主に対しては、かなり厳しい審査が行われます。

また、助成金には、法人限定のものがあります。

例えば、「高齢者等共同就業機会創出助成金」などは、最高500万円まで受給できますが、法人しか対象になりません。
ただし、注意しなければならないのは、この助成金は、「法人設立した後では申請できない」ということです。
同様の性質を持った助成金に「受給資格者創業支援助成金」があります。

やはり、ここでも融資同様、法人設立前の準備が必要になるということです。

結論として、法人は個人事業主に比べて、助成金の審査が通りやすく、受給可能な助成金の数も多いということになります。




起業家のあなたは、「法人のほうが社会的信用は高い」と、単純に思い込んでいるかもしれませんが、決してそうではありません。

ビジネスの「業態」や「取引先」「事業展開」により、明らかに法人のほうが有利なケースを除いて、それほど変わるものではありません。
「一円起業」などと比べれば、逆に個人事業主のほうが、信用がある場合だって多いのです。
特に、起業直後の小さな会社の場合は「法人」という見かけよりも、「あなた自身」が商品であることのほうが多いからです。
個人事業主として営業基盤を固めた上で「法人化」した方が、長い目で見れば失敗が少ないともいえます。

法人だからといって、それだけで「社会的信用が付く」と考えるのは、甘い発想だといえます。

しかし、そうはいっても、業種がら法人でなければ免許を取得できなかったり、プレゼンに出席できないというビジネスもあります。

ここでは、信用力の面で、「絶対に法人でなければならない」ケースの代表的な例として、「取引先との関係」について述べてみます。
同時に、今はやりの「一円起業」についても、私なりの考えを述べてみます。

私のところでは、これまで500社以上の法人設立をお手伝いさせてもらいましたが、その半分以上は、個人事業主から法人への移行を目的にする方々でした。
理由を聞くと、一番多いのは「うちと取引するには法人でなければ出来ないと、新規開拓先から言われた」「これ以上の金額の取引をするためには法人化してほしいと、既存の取引先から言われた」というものです。

特に、大企業と取引するには、法人であることが絶対条件だといえます。

個人事業主では、まず大企業との直接取引はできません。
個人顧客が相手の商売でないのなら、法人を設立したほうが良いと思います。

ただし、「一円起業」は別です。

新会社法の施行により、資金の乏しい者による起業が促進され、結果として、資本金の過少な会社がたくさん出現するものと思われます。
もちろん、最初に潰れていくのはそうした会社です。
もしかしたら、あなたの会社も、そのとばっちりを受け、倒産するかも知れません。

既存の会社や銀行は、自分の身を守るために、今後は取引先の信用調査・与信管理に目を光らせると思います。

その第一段階が会社の謄本です。(決算書も含めてですが)
資本金がゼロということは、その時点で債務超過です。
私なら、そんな会社と取引しません。

政府は雇用促進のために、一円起業を奨励していますが、既存の会社は、資本力の重要性を痛いほど熟知しています。
いつ潰れてもおかしくない会社と手放しで取引するほど、ビジネスの世界は甘いものではありません。

くれぐれも、「一円起業」だけは避けてください。
取引先の確保に焦る余り、一円起業同士が傷口を舐め合うような取引を続けると、いつかはその煽りを受け、自らも連鎖倒産してしまうことになります。

確かに、一円起業の出現により、会社の自由度は広がります。
しかし、「自由」と「リスク」は表裏一体だということを、起業家の方は知っておいて下さい。

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