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儲かっているハズなのになぜカネが無いのか?


経営者になれば、決算書上は利益が出ているのに、思っているよりも現金残高が増えていないという感覚を持たれたことがあると思います。
ここでは、なぜそのような状況になるのかを説明してみます。


■ 起こりうる勘違い

商品をお客さんに売れば、その金額が「売上高」になります。
当たり前のことのように思えますが、ここに小さな疑問が生じます。

それは、「どの段階で売上になるのか」という事です。

現金商売である小売業の場合は、商品の引渡しと現金の受取りが同時に行われますから、この時点が「売上になる」時です。

しかし、ほとんどの商売は、その場で現金をもらうわけではありませんので、
「どの時点をもって売上とするのか」に疑問が生じます。

1. 商品の注文を受けた時
2. 商品を届けた時
3. 代金の請求をした時
4. 売上代金が入金された時

あなたは、上記のうち、どの時点をもって売上とするのか分かりますか?

答えは、2. の「商品を届けた時」です。
4. の「売上代金が入金された時」ではありません。

2. のように、会計上では、現金の授受とは関係なく、「発生」の事実に基づいて、売上や費用を計上することになっています。
これを「発生主義」といいます。

逆に、4. のように、入金・出金という「現金」の増減の段階で、売上や費用を計上しようという考え方もあります。
これを「現金主義」といいます。

この2つの考え方の違いが、経営者に「思ったより現金が増えていない」と思わせる原因の1つになっています。

例えば、商品は売れたが、現金をもらうのが1ヶ月後の時、「発生主義」では、商品が売れたときに売上を計上します。
しかし、「現金主義」の場合は、1ヶ月後の現金を受け取ったときに売上を計上します。
ここで、「現金主義」と「発生主義」の間に、売上の計上時期にズレが生じるのです。

また、仕入れのときも同様です。
現金で商品を仕入れた場合、「現金主義」では、支払った時点で仕入として経費を計上します。
しかし、「発生主義」の場合は、その在庫が売れたときに初めて経費として計上されます。
(ちなみに、売れるまでの期間は、「資産」として貸借対照表に計上されています)

当然、資金繰りは「現金主義」で行いますから、商品を渡した段階で売上計上する「発生主義」との間にギャップが生じるわけです。

つまり、決算書での利益計算は、「発生主義」で処理されていますが、感覚としては、どうしても「現金主義」になりがちなため、「儲かっているハズなのに、手元にお金がない」という現象が起こるのです。

最悪の場合、損益計算書上では黒字なのに、キャッシュが足らないために倒産してしまう、「黒字倒産」ということもありえます。

実際に利益のあがっている企業でも、資金繰りが順調でなければ、企業活動を円滑に行えず、経営的に窮することになります。
反対に収益性が多少低くても、資金繰りさえ順調であれば、事業を維持できますし、
たとえ赤字でも、資金繰りが続けば企業は存続できるのです。


これを、損益計算書と実際の現金の動きを比較して、より具体的に説明してみます。



損益計算書では、すべての収益から、すべての費用を差し引き、プラスであれば利益、マイナスであれば損失、ということになります。

上の例では、売上から売上原価、経費を引いて、300円の利益が出ています。
しかし、実際の現金の動きは、売上として3,000円が入ってきて、仕入2,500円、経費700円を支払い、差し引きの現金残高は、△200円になっています。

このように、仮に損益計算書では利益が出ている場合でも、同じだけ現金が増えているとは限らないのです。
つまり、「利益」と「キャッシュの増加」はイコールではないのです。

このギャップを埋めるための考え方が、「信用取引」です。

あなたは、クレジットカードを利用して買い物をしたことがあると思います。
この場合は、商品の受渡しと、現金の授受は同時に行われず、時間的なズレが生じる事になります。
このように、相手を信用することによって成り立つ取引のことを「信用取引」といいます。





会社の場合、このクレジットカードの役割をするのが、「売掛金」「買掛金」「受取手形」「支払手形」といった「信用取引」です。

つまり、取引が発生し、その代金が実際に入金・出金されるまでの間は、「売掛金」「買掛金」「受取手形」「支払手形」という形で処理されているということなのです。




会計上の利益を分かりにくくしている原因の一つは、「現金主義と発生主義の認識の差」です。
しかし、実はもう一つ、経営者に、「思ったより現金が増えていない」と思わせる原因があります。
これこそが、「決算書の利益は信用できない」最大の要因です。

それは、「会計上と税法上とでは、経費の認識に差異がある」という事です。

本来は、経費で落とすべき内容の金額が、税法上の経費にならないのです。
そして、そのやり場に、貸借対照表の「資産の部」が使われている事が問題なのです。

この点については、次の項目で詳しく説明します。


要因その1 減価償却
要因その2 棚卸資産
要因その3 売掛金(貸倒損失・貸倒引当金)
要因その4 納税・資金繰り
要因その5 借入金

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