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決算書その2 損益計算書(P/L)


■ 損益計算書とは

そもそも、会社の利益計算をおこなう、「損益計算書」とはいったい何なのでしょうか?

「損益計算書」は、企業の一定期間における経営成績を示す財務諸表で、「貸借対照表」とともに財務諸表の中でも主要なものです。

企業の1年間の活動成果は、損益計算書の中で、「収益」「費用」「利益(または損失)」という形で公表されます。
簡単に言いますと、「会社が1年間でどれだけの利益を稼ぎ出したか」を計算する書類ということです。
なお、一般的には、損益計算書は、profit and loss statement(P/L)と呼ばれます。

つまり、簡単に示すと


となります。

現金100万円をすべて自己資金で保有している家計のケースで例えてみます。
これから1年間で、給料500万円を現金でもらい、生活費400万円を現金で支払ったとします。
すると、収入500万円-費用400万円で、差し引き利益は100万円となり、その100万円が自己資金に追加されます。
よって、2年目の貸借対照表は、現金200万円、自己資金200万円がスタートとなります。

このケースでは、現金の増減=損益となっていますが、実務では必ずしもこのようにはいきません。
なぜなら、経済の拡大発展に伴って現れた「信用取引」があるからです。

仮に今の例で、400万円の生活費のうち、300万円を現金で支払い、100万円をツケ(信用)で支払ったとします。
100万円については、物は手に入れましたが、一方で、お金の支払いは待ってもらっている状態です。
この場合、コストの認識は、現金を支払った分の300万円だけとするのでしょうか?

答えはNOです!
物の提供を受けた分ということで、信用取引分の100万円を加え、400万円と考えることになります。

すなわち、会計では、売上、コストともに、その計上をする時期を「発生時」でとらえます。
現金の受け払いにこだわらずに、物やサービスの提供をした、あるいは受けた時点で、損益を認識することとなります。

このように「発生時」に損益を計上する会計を「発生主義会計」といい、これが、会計が分かりにくいといわれる原因の一つです。
しかし、これは、その企業の状況をより正確に表すためには、欠かせないルールです。


■ 収益とは

「収益」とは、一言でいうならば、商品を売上げた代金や、銀行にお金を預けていた場合にもらえる利息などのことです。

ex) 売上、受取利息、受取家賃、有価証券売却益、固定資産売却益、雑収入


■ 費用とは

「費用」とは、いわゆる収益を得るために支出したコストです。

例えば、これから商品を売って一儲けしようと考えたとします。
まず第一に、何が必要でしょうか?
当たり前のことですが、まずなんといっても「商品」が必要です。
この商品を仕入れるために支出した金額を、一般的に「売上原価」と言います。

売上原価以外にも、商品を売る営業マンなどに支払う給料(人件費)、チラシなどの宣伝に費やした広告宣伝費、電気代、水道代、ガス代、交通費、家賃、駐車場代、文房具代などの消耗品代・・・
必要な経費は列挙していくとキリがありません。


■ 損益計算書の様式

損益計算書にも、報告式と勘定式の2つの様式がありますが、一般的には報告式を用います。
理由は単純ですが、報告式の方が見やすいからです。
報告式は上から下に損益を計算する形になっており、 計算の過程が段階的に示されていて、非常に見やすい形式となっています。


損益計算書の雛形




■ P/L計算方法




■ 5つの利益とは




「売上総利益」は、売上行為のみによって得られた利益のことで、一般に「粗利益」といいます。
粗利益は、「人件費」や「家賃」などの経費を引く前の利益であり、これをしっかり稼ぐことが、企業経営の出発点になります。






粗利益率は、業種によって異なります。

一般に、流通業、製造業、サービス業の順で、粗利益率は高くなっていきます。
粗利益率が高くなっていくのは、それだけ、取引規模に対する付加価値の金額が、大きいからです。
流通業のように、物を流すだけのビジネスの場合、創意工夫をこらす場面が少なく、相対的に付加価値率は小さくなります。
それに対して、製造業、サービス業では、製品やサービスに創意工夫をこらす余地が大きいため、相対的に付加価値率は大きくなるわけです。

ただし、単純に、売上高総利益率が高ければ良いというものではありません。
「従業員一人当たりの付加価値」を見ることが大事です。

詳しい説明は、会員用のページで行うとして、ここでは、基本的な考え方と、その計算方法を解説します。

100円ショップのような「小売業」は、商品を40円で仕入れて、100円で売ります。
このときの儲け60円を、「付加価値」といいます。
決算書上では、「売上総利益」と同額となり、これを「粗利益」ともいいます。

しかし、「製造業」や「建設業」「工務店」の場合は、まず材料を仕入れ、従業員が商品を組み立てます。
従業員だけで間に合わない場合は、仕事を外注に出します。

仮に、販売価格1,000万円の商品が、材料を外注費で700万円、従業員の給料が100万円かかったとすると、儲けは200万円になります。
この200万円が、「粗利益」になるのですが、「付加価値」は、200万円ではありません。
こうした業種の場合は、商品の組み立てに擁した従業員の給料を、引いて計算しないのです。
つまり、この場合の「付加価値」は、300万円になります。

業種によって、「付加価値」と「粗利益」の数字が変わりますので注意して下さい。





こうして、算出した付加価値を、全従業員数で割って下さい。
これを、「一人当たりの付加価値」といい、会社の経営戦略を考える上での、重要な数値となります。
「この数値を高めるための方策を考えるだけで十分」といえるくらいの、最重要数値です。

これから、その数値の具体的算出方法と、基準値を解説します。

小売業の場合は、単純に、決算書の「売上総利益」を、従業員数で割ってください。
もちろん、社長や取締役も従業員数に含めて下さい。
アルバイトやパートは、0.5人で計算します。

製造業や建設業・工務店の場合は、注意が必要です。
「売上総利益」に、商品を組み立てる現場で働く従業員の給料やボーナス、社会保険料などを足した数字を、全従業員数で割ります。

こうして算出された「一人当たりの付加価値」ですが、この数字の平均値は、中小企業で1,000万円、上場企業で1,500万円と言われています。
ちなみにトヨタは2,000万円です。

しかし、この平均値は、非常に業績の良い会社が、数字を押し上げていますので、実際の中小企業の平均は、700万円くらいです。

仮に、一人当たりの付加価値が、250万円だとすれば、社長も含めた従業員の給料の平均額が、250万円なら赤字ということです。
それ以上の給料を支払ってはいけないということです。

では、700万円を目標値にすればいいのか?
それは違います。

一人当たりの付加価値が、700~1,000万円程度では、内部留保など出来ません。
運転資金の捻出ができるだけで、将来のための投資までは手が回らないため、結果として会社は、ジリ貧になってしまいます。

この数値の最低合格ラインは、1,500万円です。
会社を大きくしたいのなら、2,000万円以上を目指さなくてはなりません。

「一人当たりの付加価値」は、会社の管理数値の中でも3本の指に入る最重要数値です。
この数字を上げることだけ考えていれば、とりあえず会社は安泰です。

しかし、そのためには、会社のお金の流れを完璧に把握する必要があります。
なにやら難しそうに聞こえますが、コツさえつかめば、誰でも簡単に理解することができますので、ご安心下さい。

「お金の流れのつかみ方」と、「一人当たりの付加価値を上げる方法」については、会員用ページで、具体的に解説します。

話は戻りますが、十分な粗利益が得られない場合は、何らかの対策を講じる必要があります。
たとえば、売上高を増やす、販売価格を上げる、売上原価(仕入や製造コスト)を下げる、といった手法がありますが、どれか一つに偏ると無理が生じます。
全体のバランスを考慮しながら、自社に最も適した対策を考えるようにしましょう。

なお、粗利益をよく検討した上で、人件費をはじめとする経費節減に努める、借金を減らして支払利息の軽減化を図るなど、全体的な支出を抑えることも、純利益向上につながります。

そのあたりの具体的な方策についても、会員用ページで、項目ごとに実例を上げながら詳しく解説します。



「営業利益」とは、「売上総利益」から、「販売費及び一般管理費」を控除して計算される利益であり、会社の本業による利益獲得力を示します。



販管費(正確には販売費及び一般管理費)には、広告宣伝費や販売促進費などの販売拡大の為のコストや、荷造り、発送などの流通コスト、役員報酬、従業員の給料や賞与といった人件費、事務所の家賃、機械の減価償却費などが含まれます。

ただし、製造業の場合、現場の労務費や機械の減価償却費、リース料など工場でかかったコストは、販管費でなく、いったん製造原価に算入された後、在庫の売却を通じて売上原価に計上されることとなります。

このあたりのことは、先ほど簡単に説明しましたが、この「原価」という考え方は、経営戦略を立てる上で、とても重要なものです。
経営者であるならば、必ずマスターしなければなりません。
「原価」については、とてもここには書ききれませんので、詳しい説明は、会員用ページに譲ります。

営業利益の数値は、会社の本業が生み出した儲けを表します。
支払利息などの財務費用を差し引きする前の利益ですので、会社の財務構造の影響を受けることのない利益、すなわち「本業が稼いだ利益」となります。
したがって、「営業利益」は本業の強み、弱みが顕著に表れる重要な利益です。

営業利益が大きいということは、それだけ、収益力があるということです。
しかし、単純に金額が大きければいいかというと、決してそうではありません。
営業利益に限らず、利益を見るときには、その金額だけでなく、売上高に対する割合を見ます。
この割合を、「売上高営業利益率」といいます。




例えば、売上高10億円で営業利益が5,000万円の会社があるとします。
この会社の売上高営業利益率は、5%です。
一方、売上高は5億円ですが、営業利益が同じく5,000万円の会社があるとします。
この会社の営業利益率は、10%です。
つまり、後者の方が、儲けの効率が良いということです。

先ほど述べた「売上高総利益率」や、「売上高営業利益率」は、数値が高いほど良い指標ということになります。
しかし、売上高総利益率が悪いと、収益性が悪く、その会社はどうしようもないかというと、一概にそうとも言いきれません。

例えば、卸売業などは、販売量の多さが課題となるため、売上高総利益率を犠牲にしてでも、売上数量を確保しようとします。
しかし、製造業では、こうした薄利多売では経営困難に陥りますので、売上高総利益率を重視します。
つまり、この数値は、業種や業態の特徴が現れる数字だということです。

「売上総利益率」の一応の目安は、小売業では30%、卸売業では15%、製造業では30%、飲食業では60%ですが、「同業他社と比べて劣っていないか」をチェックすると同時に、「前年と比べて悪化していないか」を、チェックすることが重要です。

また、「売上高営業利益率」についても、最低でも10%は欲しいところですが、ここでも同業他社との比較、前年比をチェックすることが大切です。



「経常利益」とは、営業利益に、本業以外で生じた収益・費用のうちで、経常的なもの(特別または臨時でないもの)、つまり営業外収益・営業外費用を、加減したものです。



本業が稼いだ利益に、本業以外の収益と費用を、プラスマイナスしたものが「経常利益」です。
正常な状態で会社が稼いだ1年間の利益、すなわち、「会社の実力を示す利益」となります。

たとえば、借入金が大きい会社では、営業利益が大きくても、借入金の支払利息などの財務コストが大きく、経常利益がなくなることがあります。
起業間もない会社であれば、営業利益と経常利益は、ほとんど同じ数字になると思います。
逆に、この2つの数字が極端に違うようだと注意が必要です。

営業利益に対して経常利益が小さい場合は、営業外費用が大きくなっていると考えられます。

起業家の場合、営業外費用の大部分を占めるのは、「支払利息」です。
支払利息が多いということは、借金が多いということですし、手形を割引いて現金化しているということになります。
つまり、資金繰り状況が、悪化しているということです。

一方、営業利益に対して経常利益が大きい場合は、営業外収益が大きくなっていると考えられます。

預貯金の金利としての「受取利息」や、手持ち有価証券を売って得た「有価証券売却益」
が、過大になっているケースがほとんどです。
この場合は、資金繰り面では安定しているようですが、実は、手持ちの資金を有効に使わず、そのまま寝かせていることが考えられます。

長期的に見た場合、投資効率の悪い会社は、徐々に衰退していく結果になります。
経常利益が多いと安心せず、財務内容のチェックを怠らないで下さい。


経常利益については、2つの重要な指標があります。

まず一つは、「一人当たりの経常利益」です。

例えば、経常利益100万円で従業員10人の会社があるとすると、一人当たりの経常利益が10万円です。
中小企業であれば、こうした会社はたくさんあります。そして、倒産するのもこうした会社です。

一人当たりの経常利益が、10万円ということは、社員全員に年間10万円以上の食事をごちそうしたら、赤字ということです。
これでは、月に1万円程度の福利厚生もできません。もちろん、給料のアップもできません。

まず、最低基準を、毎月の借入返済額に設定して下さい。
これをクリアしなければ、話になりません。

その上で、目標値を100万円以上に設定して下さい。できれば、200万円を目指すべきです。
これを達成すれば、資金繰りなど考える必要のない経営が可能になります。


もう一つの指標が、「総資本経常利益率」です。別名ROAともいいます。

この指標も、すべての経営分析数値の中で、トップ3に入るほど重要な数値です。
これは、経営効率を見る上では、かかせない数字です。
つまり、「いくら使って、いくら儲けたか」ということです。




起業家のように、自前の資金や他人からの借金などを元手にビジネスを行う場合、できるだけ効率よく利益を上げる必要があります。
つまり、いかにして最小限の元手(資金だけでなくヒトや時間も含みます)で、最大限の利益を上げるかが、最重要課題なのです。

中小企業では、この数字が1%以下の会社が、たくさんあります。
もし、あなたの会社がそうなら、会社をたたむことを考えた方が良いかもしれません。
1%以下ということは、経営などしないで、その資金を外貨預金にでも預けている方が、より高い利回りで稼げるということです。

この指標の一般的な基準値は、7%だといわれています。
しかし、これは大企業向けの数値です。
起業間もない会社が、7%程度の利益しか出せないのでは、話になりません。

なぜなら、利回りというものは、運用資産が少ないほど高くなるからです。
何百億円も資産を持っている大企業と、数千万円程度の資産しか持っていない起業家では、利回りが違って当たり前です。

起業5年目までの会社では、総資本経営利益率は、20%は必要です。
特に総資産が少ない起業初期においては、40~50%を目標にして下さい。
この「総資本経常利益率」は、会社の管理数値として、さまざまな応用が可能です。
そのすべてを紹介していると、いくら紙面があっても足りませんので、その一つを紹介します。(他の応用例は、会員用ページで紹介します)




これを、総資産経常利益率(ROA)の適正値から算出します。

起業3年目の、ROAの最低合格ラインは20%でした。そう考えると、この会社の経常利益は

4,000万円×20%=800万円

が妥当だということになります。

実際の経常利益は200万円ですから、その差額600万円(800万円-200万円)は、本来受け取れない給与です。

つまり、この会社の社長の給与は、400万円(1,000万円-600万円)が妥当だということです。

会社を存続させたかったら、給与を400万円に減額するか、もしくは、経常利益を800万円に上げるべく、経営改善するしかないのです。

これは一例に過ぎませんが、このようにROAを管理数値として応用することにより、努力目標が明確になります。

このように管理数値とは、会社の実態を浮かび上がらせると同時に、経営者のモチベーションアップに繋がるのです。



「税引前当期純利益」とは、企業の正常な収益力である経常利益に、臨時的な儲けである「特別利益」、一時的な損失である「特別損失」を加味した損益のことです。
つまり、一会計期間に発生した、すべての収益からすべての費用を差し引いた、企業の処分可能利益です。
簡単に言えば、税金を支払う前のトータルな利益となります。



会社を経営していると、風水害にあって損失を出したり、不動産を処分して臨時収入を得たり、といった特殊事情が発生します。

このように、「経常利益」の部と切り離して、「特別損益」の部を設けることで、会社の通常の状態の損失と、特殊事情を加味した損失を区別できるわけです。
こうした方が、会社の業績が、より確かにつかめるのです。



「当期純利益」とは、「税引前の当期利益」から、「法人税」を差し引いた利益であり、簡単に言えば、会社に最終的に残った利益になります。



ここで簡単に、法人にかかる税金について、述べてみます。
大きく分けると、次の3つがあります。

・法人税(国税)
・住民税(地方税)
・事業税(地方税)

税金の計算は、損益計算書の「税引前当期純利益」そのものを基準にするわけではありません。
税法に定められた調整をした上で、課税所得額が決められます。

例えば、「交際費」は、会計上は費用に計上されますが、税法上は、一定額以上は経費とは認められません。
資本金の少ない起業家レベルの会社であれば支出額の20%が、資本金5,000万円以上の会社であれば支出金の全額が、税務上の経費(損金)とは認められません。
つまり、大企業は、「交際費」の金額に税金がかかるのです。

税率は、経済環境の変化や租税政策によって、毎年のごとく変化します。
法人税、住民税、事業税を合わせると、利益の40%~50%程度が税金とされます。
なお、赤字法人であっても、住民税の均等割(最小法人で7万円)のみは支払うこととされています。

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