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決算書その1 貸借対照表(B/S)


■ 貸借対照表のしくみ

「貸借対照表」。。。
やはり難しい言葉です。
英語では貸借対照表のことをバランスシート(balance sheet 略してB/S)を言いますが、これは「貸借(=左右)が一致している表」という意味となります。

決算書を見てもらえば分かると思いますが、どんな書式であっても必ず貸借対照表が一番先にきています。
それは、貸借対照表が決算書の中で一番大切だということを意味しています。

「資産」と「負債」が増えたのか減ったのか、そのバランスはどうなっているのかを読み取り、最もバランスがとれている状態を目指して、経営を改善していきます。
「会社が儲かっているか、損しているのか」は、損益計算書に表示されるお金の出し入れだけでは判断できないのです。

貸借対照表とは、決算日時点での会社の「財産」と「借金」が一目でわかる表です。

貸借対照表には、やけに堅苦しい言葉が使われているので、難しく思えますが、大きなくくりで表せば、上の表のようになります。
大きな特徴として、左右に分かれていることが挙げられます。
右側を「総資本」、左側を「総資産」といい、左右の数字は同数になります。

右側の「負債」、「資本」は、会社が事業に使う資金を「どうやって集めたのか」を表しています。

調達方法は大きく分けて、以下の3つです。
・人から借りる。(負債の部) → 返済する必要がある。
・株を発行して集める、いわゆる出資。(資本の部) → 返済の義務なし。
・今までの事業を通じて儲けた利益(資本の部)

銀行や人から借りたものは、いずれ返さなければいけないので、「負債」と表されます。
一方、株を発行して集めた資金や事業を通じて儲かった利益は、返す必要がありませんから、「資本」とされます。

左側の「資産」は、右側で集めた資金が「何に形を変えたのか」を表しています。

事業を行う上では、現金だけでなく、商品在庫や設備など様々なものが必要になります。
また、取引をしていく中で「後払いで売ったり(売掛金)」「手形をもらったり(受取手形)」することがあります。
これらの「後でお金を受け取る権利」を「債権」といいます。
形態はさまざまですが、現金や預金以外に、「会社がお金を払って取得したもの」が含まれます。
これらは会社の資産ですから、左側に「資産」と表記されます。

「資本の調達」と「運用」は表裏一体の関係であり、両者の合計金額は必ず一致します。
なぜなら、会社が左側の「資産」を持つために、どのようにしてお金を集めたかを示すのが、右側の「負債」と「資本」だからです。
つまり、右側の「負債」と「資本」で集めたお金が、左側の「資産」に形を変えたということです。
この考え方は、非常に重要なポイントですので、よく覚えておいて下さい。
会員用ページも含め、今後説明する経営分析の基礎となる考え方です。


ここで資産・負債・資本の3者の関係をご理解いただきたいと思います。
基本的には家庭の会計、つまり家計における「財産」と「自己資金」及び「ローン」の関係と同じです。

ある家庭で、現金100万円、3,000万円のマンションを保有しているケース。
これらは家計にとっては「財産」であり、貸借対照表では左側に表記されます。(下記参照)

そして、これらをローンを抱えない状態で保有しているのであれば、貸借対照表の右側はすべて自己資金(資本金)となります。



しかし、マンションを購入するためのローンが1,000万円残っていた場合、その部分は「自分のもの」ではなく「他人から預かっているもの」(長期借入金)と把握されます。
この場合、貸借対照表の右側は下記のように表記されます。




それでは、ここでより詳しい貸借対照表の例を挙げますので、具体的に見てみましょう。


普段あまり見慣れない単語ではありますが、なんとなくイメージできるのではないでしょうか。
貸借対照表の左側は、「事業のために集めたお金が形を変えたもの」で、右側は、「そのお金をどうやって集めたか」を表しています。

右側の「資本の部」は、少し分かりにくいと思いますので、簡単に説明します。

「資本金」とは、会社を始める時、または増資した時に集めたお金の合計です。
「法定準備金」は毎年の決算の時に出た利益の一部を積み立てたものです。
そして、「当期未処分利益」は過去の利益の積み重なった合計です。
赤字の会社の場合は、この部分がマイナスの表示になります。



■ 流動資産、固定資産とは




上記に掲げる表は、もう一つの決められたルールにしたがって作成されています。
左側の「資産の部」を「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3つに、
右側の「負債の部」を「流動負債」「固定負債」の2つに分けています。

ここでは「流動○○」と「固定○○」の違いをご理解いただきます。

「流動資産」とは、決算日から1年以内に現金化されるものを示します。
「固定資産」とは、流動資産より回収期間が長いもの(1年以上)を示します。
「流動負債」とは,決算日から1年以内に支払わなければならない負債を示します。
「固定負債」とは、流動負債より支払期間の長いもの(1年以上)を示します。

“1年“が境目となって、「流動」と「固定」は区分されることとなりますので、このルールのことを「ワンイヤールール」と呼びます。



■ B/Sの落とし穴!

流動資産として記載されている、売掛金や棚卸資産の中には、1年以内の現金化がおぼつかないものが含まれていることがあります。
具体的には、「回収不能の売掛金」や「不良在庫」です。

実は、売掛金、棚卸資産(在庫)は、ワン・イヤー・ルールの例外として、よほどのことがない限り、「流動資産」に計上されることとなっています。

しかしこれはよくよく考えてみると、「あってないもの」という見方をするのが妥当です。
他にも、仮払金、電話加入権などの権利といった「無形固定資産等」も資産の部に計上されるものですが、これらも「あってないもの」と見るのが妥当でしょう。
また、権利金やノウハウ料といった「繰延資産」も同様です。

商法ではこうしたものを資産にあげることは認めていないにもかかわらず、税法上の資産として計上されています。
もちろんこのような資産は、「あってないもの」です。(上記表の★印)



と把握していたものの実態が、不良債権が30や不良在庫が20あったとすると、実は、


のように、債務超過となっていることもありますので、十分に注意が必要です。

※債務超過とは資本勘定がマイナスになることです。

つまり、資産の全てが他人の資本(借入金)によってまかなわれており、しかも、全資産を売却してもまだ負債が残る財務体質として、非常に危険な状態を指します。
このような状況になったら、まず銀行からの借入は難しくなると理解してください。



■ B/Sによる分析

「企業が倒産しないかどうか」これを判断するための分析方法が“財務安全性分析”です。

そもそも企業の目的は、利益をできるだけ多くあげることにありますが、これを達成するためには、将来にわたって企業が倒産しないことが前提となります。
その意味で、「安全性」の分析は欠かせません。

では、企業の財務安全性はどのようにチェックすればよいのでしょうか?
基本的には、短期と長期の2つの分析指標があります。

短期的な安全性を見るのが、「流動比率」です。
これは、流動資産/流動負債という算式で算定することができます。




1年以内に支払うべき「流動負債」に対して、その支払手段となる「流動資産」が、どの程度あるのかを見る指標であり、当然、これが100%以上であることが最低条件になってきます。
逆に100%以下の場合は、1年以内に返済しなければならない負債に、固定資産を充てていることになり、財務的に不安定な状況にあると言えます。

なお、一般的な経営分析の本には、流動比率は120%以上が望ましいとされています。
しかし、これは、決算書の数字をそのまま信じた場合であって、実際に流動資産を処分するとなると、等価で売れることはまず考えられません。
ですから、処分価値を帳簿価格の半分とみて、流動比率は200%以上が望ましいとするのが実践的です。

このように、流動資産といっても、即時に換金可能なものは限られており、分子として、「当座資産」(流動資産から棚卸資産以下を除いたもの)という、すぐに換金可能な資産のみで計算するという考え方もあります。

この比率を「当座比率」といいます。




この比率は、100%以上が望ましいとされています。
現金化しやすい「当座資産」は、短期の支払いのために直接役立つものですから、
流動負債との関係をみることで、企業の返済能力を、より厳密な形で判断することができます。

例えば、不動産会社のように、非常に金額の大きな土地などの不動産を棚卸資産に計上しているケースでは、流動資産が膨らみ、「流動比率」だけをみると、実態以上に支払い能力があるようにみえてしまいます。
ところが、「当座比率」をみると低いため、短期的な支払い能力に不安があることが分かります。
このように、流動比率と当座比率を見比べることによって、会社の実態が把握できるというわけです。

「流動比率」や「当座比率」は、銀行が融資を判断する場合にも、必ず使われるくらい重要な数値ですが、これらの分析数値にもおのずと限界があります。
いくら流動比率が高くても、実際の資金繰りではショートすることがあるのです。

たとえば、売掛金の入金は60日後で、買掛金の支払が90日後だとすると、入金の方が早いのですから、支払いに支障はありません。
ところが、売掛金の入金が120日後で、買掛金の支払が60日後ということもあります。
入金の方が遅いケースですが、ほとんどの会社はこうした業態になっています。
これでは、いくら120日後に1000万円入る予定でも、60日後の500万円の支払ができなければ、資金はショートしてしまいます。

流動比率や当座比率では、この点をつかむことができません。

銀行からの資金調達ができないことによる資金繰りの悪化は、財務諸表だけでは把握しきれないのです。
ですから、経営者は、売掛金の回収や棚卸資産の量・販売状況と、買掛金の支払いのタイミングに、常に目を光らせていなければなりません。
これが、数字の分析とは違った、もうワンランク上の経営者の仕事です。


次に、長期的な安全性を見るのが、「自己資本比率」です。




自己資本は返済の必要ない資金であり、これが相対的に多ければ多いほど、負債返済リスクは減少し、長期的に見て財務安全性は増すこととなります。

では、この自己資本比率はどのくらいあれば良いのでしょうか?

負債を自己資本でまかなうという観点から見れば、負債1に対して自己資本1。
つまり50%が理想値です。
しかし、実際には、35%が当面の目標となります。
業種別にいえば、製造業では20%、卸売業では30%、小売業では45%は必要です。
逆に20%を切ると健全とはいえません。
倒産会社のほとんどは、自己資本比率20%以下です。
最低でも負債の半分は自己資本でまかなう必要がありますので、やはり30%以上の自己資本比率はキープしておかなくてはなりません。

自己資本比率をみる場合、注意すべきことがあります。
それは、「この比率が高ければ高いほど良い会社なのか」ということです。

確かに低ければ安全性に問題がありますが、反対に高ければ良いというものでもありません。

中には、この比率が90%以上の会社もあります。
高い比率は、安全性が高いという証拠ですから、それは問題ありません。
しかし、逆に言えば、超安全な会社の本質は、「保守的」だということです。
自己資金だけでは、積極的な経営はできません。
会社というものは、ある程度のリスクを甘んじて受けないと、成長しないものです。
技術革新や市場の拡大に乗り遅れ、いずれジリ貧になって、気づいた時には打つ手がなくなってしまいます。
自己資本比率の極端に高い会社は、「成長性に問題がある」ことが多いのです。

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