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● 成功事例はマネすべきか?

このところの起業ブームで、書店に行けば、成功した経営者のノウハウ本がたくさん並んでいます。
また、いろいろなセミナーが開催され、そうした経営者の話を直接聞くことも出来ます。

確かに、そうした人の話は、評論家やコンサルタントによる机上の空論のような話と違い、実際に成功したノウハウですから、起業家のあなたが聞いても、実戦で役立つことがたくさんあると思います。

しかし、あなたが覚えておかなければならないのは、「そうしたノウハウをそのまま実践したからといって、必ずしも同じように成功するとは限らない」ということです。

大事なことは、そのやり方が自分の性格や能力に合っているかどうかです。
自分が得意とする方面のノウハウなのかどうかを、一歩引いて冷静に考えてみることです。

そのためにはまず、自分自身の性格や能力を深く吟味してみること。
そして、あなたの会社の経営資源や性質を正しく把握できているかがポイントになります。

例えば、「どうすれば粗利を確保できるのか」という問題があるとします。
一般的には、次の3つの方法に集約されます。

1、利幅を高くして売る
2、利幅が低くても数を売る
3、商品の回転率を高める

同じ粗利を確保できた場合、利幅を低くして数を売った方が、売上高は大きくなります。
つまり、見かけの年商が大きいということです。
もともと見栄張りで、対外的にイイ顔をしたい経営者であれば、この方法は合っているかもしれません。
しかし、その分、仕入資金がかさみますから、会社の資金調達能力も必要です。

また、こうした性格の人が、無理して利幅を高くして売ろうとすると、どうしても経営自体がちぐはぐになってしまいます。
「利幅を高くして売る」ということは、売上高はそれほど伸びませんし、在庫を抱えるリスクも大きくなります。
また、利幅を高くするためには、商品力がなければなりません。
当然、経営者自身にその商品に関する知識が必要になります。
それと同時に、営業センスも求められます。

つまり、「利幅を低くして数を売る」ケースに比べて、経営判断が慎重かつ堅実にならざるを得ないということです。

それにもかかわらず、本来見栄張りで堅実性に欠ける経営者がこの方法を選択すると、それほど商品力のない商品を高く価格設定してしまい、市場競争力をなくして売り上げを低迷させてしまう結果になるのです。
逆に、こうした人が無理して堅実経営をやっていると、ここぞという時に打って出ることが出来なくなってしまいます。
本来は、積極的な性格なのに、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまい、欲求不満から経営自体が面白くなくなってしまいます。

こうしたことは、起業したばかりの経営判断能力に乏しい起業家が陥りやすい落とし穴です。
自分と、自分の会社のことを吟味しないでマネしても、経営を危うくするだけの結果になってしまうということを覚えていて下さい。

それと、これに関連してですが、ほとんどの経営者は過去の成功体験に縛られ、一度うまくいった方法で困難を乗り切ろうとします。
しかし、同じ方法が通用するかといったら、そんなことはありません。

なぜなら、顧客や市場の変化は、めまぐるしいほどのスピードで動いているからです。
頭では「今は変化の時代であり、過去の成功体験は通用しない」と分かっていても、ついつい無意識のうちにとらわれてしまいます。
過去にそのやり方で成功し、評価されただけに、過去の成功体験を捨てきることがなかなか出来ないのです。

成功体験から得ることが出来るものは、困難を乗り越えたという「自信」や、障害を克服するための「信念」といった「普遍的なもの」だけです。

それ以外の「ノウハウ」や「ハウツー」めいた方法論は、邪魔なだけで役に立たないどころか、あなたの経営判断を狂わせます。

そういう意味では、過去の成功体験に基づいたノウハウ本やセミナーなどは、聞いても意味がないということです。
成功者の話を聞いて、その行間が読み取れるだけの経験とセンスがあれば良いでしょうが、経営経験の乏しい起業家が聞いても、ついつい即効性のありそうな方法論に目がいってしまいます。

モノマネは、所詮モノマネだということです。
絶対、本物以上にはなれないし、「ナンバーワン」も「オンリーワン」も取ることは出来ません。

モノマネは、進むべき道が制約されてしまい、挙句の果てに市場競争に巻き込まれてしまいます。
モノがあふれている時代では、いかに新しいものを生み出せるかが勝負だというのに、自分で勝手に制約をつくっていたら、いつまで経っても成功などあり得ません。

ちまたにあふれている「ノウハウ」というのは、過去の成功者たちの「しぼりカス」だということに早く気づいてもらえたらと思います。



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