ホーム > メインコンテンツ > 経営判断・起業の心得誰を接待すべきか?
戻る
次へ

● 誰を接待すべきか?

起業した人にありがちなカン違いは、会社の経費で落ちるからといって、飲み食いの接待交際費を気軽に使ってしまうことです。

得意先開拓のため、あるいは得意先との関係を深めるためにと自分に言い訳をして、会社の財務状況も考えず、器量以上の接待を繰り返します。

起業家であれば、最初は自分が接待されることが少ないため、接待される側の気持ちが分かりにくいとは思いますが、本当にあなたにとって良い関係を築ける得意先ほど、接待されることを好みません。
普通、接待とは、自分より力量が高い人に対して行うものです。
当然、あなたの下心は見透かされますし、堅実な経営者であれば、あなたのそうした正攻法でないやり方に嫌悪感を抱くものです。

そう考えると、あなたの接待に心を動かす得意先は、非常にレベルの低い経営者ということになります。
つまり、自分の優位な立場を利用して、あなたからお金を吐き出さそうとしている得意先です。
こうした得意先は、カネの切れ目が縁の切れ目ではないですが、あなたに利用価値がないと分かれば、さっさと後ろを向いてしまいます。
商売の基本は、投下した資金がいくらの利回りを上げるかですから、これでは無駄な投資となってしまいます。
見返りを期待しても、裏切られるのがオチなのです。

「じゃあ、安い居酒屋で接待したら良いじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本音と建前は違います。

いくら相手が「無理しないで、安いところでいいよ」と言ったところで、本当に安い店で接待しようものなら「この会社は、うちを軽んじているのか」と、逆に誤解してしまうケースもあるのです。
なぜなら、得意先というのは、根本的に「接待されて当然」と思っているからです。
だから、どうしても得意先を接待する場合は、多少なりとも格好のつく店を選ぶ必要があるのです。
そうすると当然、接待費が高額になる割には、見返りが少ないということになります。

しかし、だからといって、私は接待の全てを否定するつもりはありません。
要は、接待する相手を間違えなければいいのです。

では、誰を接待すれば良いのか?

答えは、仕入先、外注先、アウトソーシング先です。

モノを安く仕入れて高く売るというのは、商売の基本原則です。
一般的に、ビジネスの世界では、モノを売るよりも買う立場の方が絶対的な優位性を持っています。
だから、買う側は、その優位性を行使して仕入先を屈服させようとします。
購買力を背景に、高圧的に仕入れの値段を叩こうとします。

しかし、仕入先も人間です。
値段を叩かれ、価格が低すぎて商売そのものがキツくなれば、「こんな値段でやってられるか」と、低品質のモノやサービスを持ってくるようになります。
そうなると、あなたの会社は、安い値段で買っているつもりが、逆に高い買い物をするという結果になります。

ビジネスの世界では、信用が第一です。
一度落ちた信用を取り戻すには、何倍もの努力と資金が必要になります。
コストダウンのつもりでやっていることが、全くの逆効果ということになるのです。

このように、目先の利益に走るあまり、仕入先との関係を崩してはいけません。
特に起業家の場合は、日頃から、注文をくれる得意先に気を使い、頭を下げている反動からか、自分が仕入先にモノを注文する立場になると、高圧的な態度になりがちです。
起業したばかりの小さな会社にとっては、仕入先は非常に重要な意味を持ちます。
どうしても最初は売り先に気を取られるため、仕入れについてはついつい見落としがちですが、売り上げの少ない状況において、仕入れはとても重要な意味を持ちます。
「変動費」とも関わることですので、会員用ページで詳しく説明しますが、経営において重要視すべきは、得意先以上に「仕入先」なのです。


粗利益率を高めることは、ビジネスの基本です。
得意先というのは、あなたの会社にお金を払ってくれるかもしれませんが、やれ「値引きだ」とか「急な注文だ」とか言って、粗利の少なくなるようなことや経費のかかることを平気で要求してきます。
これがあなたの会社が儲からない原因になります。
一方、仕入先というのは、良い関係さえ保っていれば、仕入れ購入が下がるという直接的なプラスだけでなく、ビジネスの拡大につながる有益な情報をもたらしてくれます。

あなたの会社の売上げが伸びれば伸びるほど、運転資金が必要になってきます。
銀行等の資金調達でまかなえるうちは良いかもしれませんが、そのうちどうにもならなくなってきます。
資金繰りを回すためには、得意先の入金を早めてもらうか、仕入先の支払を遅らせてもらうしかないという状況に陥ります。
その場合、どちらの交渉がやりやすいと思いますか?

また、資本提携や出資といった、会社の規模拡大のための戦略を立てやすいのも、「仕入先」や「外注先」です。
「得意先」からの提案である場合は、最悪の場合、会社の乗っ取りも考えられます。
これは、どちらの立場が強いかということを考えてもらえれば、容易に想像できると思います。

だから仕入先に対しては、無理な要求をしないで、友好的な関係を築くことが大切なのです。
そのためには、多少の出費になろうとも、同じ金額を接待費に使うのであれば、利益率を下げる得意先よりも、利益率を高める仕入先に使った方が有益だということです。

これは、外注先・アウトソーシング先についても同様のことが言えます。
これらは、通常の仕入先と違い、目に見えるものではなく、資金繰りの面でも影響してきます。

そのためには、トップ同士の人間関係を築いておくことが重要になります。
あえてこちらから接待し、相手の社長に「本当はこちらが接待すべきなのに、なんて律儀な人だ」と思ってもらえれば、友好的な関係が築けます。
「あなたの会社の仕事だけはキッチリやろう」と考えてくれるはずです。

同じお金を接待に使うのであれば、より利益が上がるように工夫するのが経営者の仕事なのです。


戻る
次へ